● レポート
ハーモウェブセミナーレポート『射出成形現場におけるカーボンニュートラルとCO2削減』2021/11/26開催
2021年11月26日(金)に開催したハーモウェブセミナー『射出成形現場における「カーボンニュートラル」への取り組み』の動画といただいたご質問への回答を掲載いたします。ぜひご覧ください。
CO2削減に貢献する資料をご用意しました
セミナーの資料をご覧いただけます。ダウンロードしてご活用ください。
射出成形の基礎知識と課題解決については下記コンテンツをご覧ください。
射出成形とは|基礎知識と課題解決
ウェブセミナー内容
- カーボンニュートラルって何?(動画 2:04~)
- カーボンニュートラル・CO2削減が必要な理由(動画 3:57~)
- 成形現場でできるCO2削減(動画 8:35~)
- 省エネ・CO2削減に貢献するハーモの製品群と具体事例(動画 13:38~)
- CO2削減事例についてのQ&A(動画 23:11~)
- 動画でもセミナーをご覧いただけます
- CO2削減に貢献するダウンロード資料
カーボンニュートラルって何?(動画 2:04~)
カーボンニュートラルとは?
温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること
2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言。 「排出を全体としてゼロ」というのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」※ から、植林、森林管理などによる「吸収量」※ を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味しています。 ※人為的なもの
地球規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、2015年にパリ協定が採択
“世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること(2℃目標)。今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出量と吸収源による除去量との間の均衡を達成すること” 等を合意し、この実現に向けて、世界が取組を進めており、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げている。
引用:環境省脱炭素ポータブル
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/
カーボンニュートラル・CO2削減が必要な理由(動画 3:57~)
気候危機を回避するため
- 世界の平均気温は2017年時点で、工業化以前(1850~1900年)と比べ、既に約1℃上昇したことが示されている
- 気候変動に伴い、今後、豪雨や猛暑のリスクが更に高まることが予想されている。
- 日本においても、農林水産業、水資源、自然生態系、自然災害、健康、産業・経済活動等への影響が出ると指摘されている
- カーボンニュートラル・CO2削減の実現に向けて、誰もが無関係ではなく、あらゆる主体が取り組む必要がある
脱炭素経営に向けた取組の広がり
TCFD、SBT、RE100に取り組んでいる我が国企業の状況は以下の通りであり、世界トップクラスとなっている
引用:環境省Webサイト
http://www.env.go.jp/earth/datsutansokeiei.html
気候変動リスクの情報開示が義務化へ
金融庁が、上場企業や非上場企業の一部の約4,000社が提出する有価証券報告書に記載を求める方向。開示を義務付ける可能性がある。
気脱炭素経営によって期待されるメリット
優位性の構築(自社の競争力を強化し、売上・受注を拡大)光熱費・燃料費の低減知名度や認知度の向上社員のモチベーション向上や人材獲得力の強化資金調達において有利に働くこと
引用:脱炭素経営ハンドブック
成形現場でできる”CO2削減” (動画 8:35~)
脱炭素化に向けた計画策定の検討手順
太文字の内容がハーモで貢献できる領域です
- 長期的なエネルギー転換の方針の検討
- 短中期的な省エネ対策の洗い出し
- 再生可能エネルギー電気の調達手段の検討
- 削減対策の精査と計画へのとりまとめ
成形現場のCO2削減
- 油圧式成形機から電動式成形機への更新
- 成形機の保温対策(シリンダーヒータ保温)
- 待ち時間におけるスクリュー部通電停止
- ホッパードライヤーの保温
- ホッパードライヤー廃棄熱の再利用
- 使用しないときの有ヒーター機器(乾燥機、温調機)の運転オフ
- 乾燥機のフィルターのこまめな清掃
- コンプレッサ供給圧力の適正化や消費設備の低圧化
- 各機器のエア漏れの防止、修繕
- 電力量の管理、見える化
省エネ・CO2削減に貢献するハーモの製品群と具体事例(動画 13:38~)
ホッパードライヤー「断熱コート」装着でCO2削減
一般的なホッパードライヤーの課題
- 金属性ドラム内へ樹脂を投入し、発熱ヒーターからの熱風をドラム内へ送風し、樹脂を乾燥
- このため、一定時間以上金属ドラムへ供給される熱量は、金属ドラムの外面を通じて室内へ自然放熱されてしまう
解決策
- 金属性ドラムへ断熱コートを巻きつけ、放熱を削減する
- 放熱を削減する=省エネ効果もある
断熱仕様の電気消費量
乾燥温度100℃
1hの消費電力 (kwh) |
24h稼働の消費電力 (kwh) |
250日稼働の消費電力 (kwh) |
|
①断熱コート無し | 1.30 | 31.2 | 7,800 |
②断熱コート有り | 1.18 | 28.3 | 7,075 |
①-②消費電力の差 | 0.12 | 2.97 | 25 |
②/①省エネ効果 | ▲9.2% | ▲9.2% | ▲9.2% |
結果
- 1日の消費電力 約3kwh削減
- 1日の省エネ効果 -9.2%
CO2削減効果(1日)
- 3kwh ×0.379※1=1.137kg ※1中部電力のCO2排出係数
- (CO2排出1キロ=人間が1日に吐き出すCO2排出量と同じくらい)
ホッパードライヤー「排気熱交換器」装着でCO2削減
一般的なホッパードライヤーの課題
- 一般にホッパードライヤーへ供給される熱風は、樹脂乾燥ドラム内を通過した後、粉を取り除くためのサイクロンへ送られ、室内へ自然排気される
- 一定時間以上を経過した熱風は、ドラム内で熱交換されても、排出される時点ではまだ一定の熱量を蓄えたまま室内に放出されてしまう
解決策
熱交換部にオフセットヒートシンクを採用
- サイクロンを通過した排気を熱交換器へ通す
- 交換された熱量を再度乾燥ドラムへ戻すことで放熱を削減
- 更にフィルターを通過させて排気させ、室内のクリーン度を保ちます
オフセットヒートシンクのメリット
- 乾燥機より排出される熱風と、新たに送られる乾燥エアが熱交換器を介して熱交換することにより、安定した循環エアによる材料乾燥が行えます
- 乾燥用に取り入れられたエアは送風用のブロワで加熱用ヒーターに送られますが、熱交換器によって昇温されることにより加熱ヒーターの通電量が削減されるために、ヒーターの消費電力が低減されます
- 乾燥機から排出される熱風は、効率の良い熱交換器によって温度が下がった状態で室内に排出される為、室内に設置されている空調設備の消費電力を抑えることに繋がります
省エネ効果(一例)
機種 | 120℃設定 | |
THD-25F | 標準機 | 17,513kwh |
熱交換器付 | 11,763kwh | |
省エネ効率 | 32.8% | |
省エネ電力 | 5,750kwh |
測定状況
気温10~20℃/ブロア吸引温度30℃(一定)/1年間(365日)24時間計算
結果
熱交換器装着で、消費電力最大33%削減!
CO2削減効果(年間)
- 5,750kwh ×0.379※1=2,179kg
- ※1中部電力のCO2排出係数
- (2,179kg=杉の木約142本分が1年間に吸収するCO2量に相当)
除湿乾燥機の「省エネモード」
エコモード切替搭載。材料によってエア消費量を抑えることが可能。
標準モード | エコモード | |
エア消費量 | 125ℓ/min | 75ℓ/min |
コンプレッサー消費電力※ | 1.36kwh | 0.82kwh |
1月間消費電力量※2 | 816kwh | 492kwh |
標準モードとエコモードの差 | 324kwh |
※1 除湿乾燥運転1時間当たりの実測値
※2 24時間、25日稼働1kw=17円で算出
結果
エコモードでエア消費量40%削減
CO2削減効果(月間)
- 324kwh ×0.379※1=122.8kg
- ※1中部電力のCO2排出係数
- (122.8kg=自動車で横浜↔琵琶湖間を走った時のCO2排出量と同じくらい)
トータルリンク「終了時周辺機器自動オフ」機能で無駄なエネルギーをなくし、CO2削減
周辺機器の設定・起動・モニタを一括管理するのがハーモのトータルリンクです。
トータルリンクの「終了時周辺機器自動オフ」機能でCO2削減
成形終了時、ロボット自動運転停止時に、トータルリンクが周辺機器へ生産終了指示をしてお知らします。
導入前
- 予定個数を終了してロボットが運転停止後、全ての周辺機器を運転停止しなければならない
- 電気代がもったいない。CO2の無駄にもつながる
導入後
- 予定個数を終了するとロボットが自動で運転を停止
- その後、ロボットが周辺機器に運転終了を自動で指示
- ムダな電気代がかからず、省エネに貢献。CO2削減につもつながる
省エネ例の試算
「温調機と乾燥機、夜中の3時間つけっぱなし」のミスが月に12日あったとした場合、年間どのくらいのCO2排出を削減できるかを試算
結果
1日10.2kwh(1セット分)×12日×12ヵ月
CO2削減効果(年間)
- 1,469kwh ×0.379※1=557kg
- ※1中部電力のCO2排出係数
- 557kg=杉の木約35本分が1年間に吸収するCO2量に相当
CO2削減についてのQ&A(動画 23:11~)
Q1:成形業界でのCO2削減取り組み事例を教えてください
A社様のCO2削減事例
業種:自動車部品メーカー
事例:電力会社共同再生可能エネルギーの活用
CO2排出量を年間約600トン削減を目指す
- 専用の太陽光発電所をA社敷地内に設置・運営
- 発電された電力をA社で使用することで、当該発電電力分のCO2フリー化を実現
- 水力発電所で発電された電気を活用
B社様のCO2削減事例
業種:プラスチック製品の開発・製造・販売
事例:環境に配慮したプラスチック製品
バイオポリエチレンを使用し、化粧品用ヒンジキャップ(2.05g)にて試作。通常のプラスチックと変わらず成形できている
- 環境に配慮したプラスチック製品の試作をはじめた
- 原料には、植物由来のバイオポリエチレンを使用
- カーボンニュートラルの考え方で、環境に配慮した製品づくりを進めている
C社様のCO2削減事例
業種:自動車部品メーカー
事例:ホッパードライヤーの排熱利用による省エネ
年間低減効果:CO₂低減 ▲31t/年(20台)
- 射出成形工程が多い工場では、樹脂材料を乾燥させるホッパードライヤーから、排熱(50~60℃)が放出されている
- その排熱を回収し、給気の温度を上げる(+25~40℃)ことで、電気ヒーターの消費電力を低減させた
動画でもセミナーをご覧いただけます
CO2削減に貢献するダウンロード資料
ダウンロード資料の内容です
- カーボンニュートラルって何?
- カーボンニュートラルが必要な理由
- 成形現場でできるCO2削減
- 省エネに貢献するハーモの製品群と具体事例
- Q&A
こんな方におすすめの資料です
- 射出成形現場のCO2削減を実現したい
- カーボンニュートラルの取り組みを始めたい
- 工場内の熱気環境を改善したい(射出成形機オペレーター様)
- 消費電力削減による省エネ方法を知りたい(生産ライン管理者様)
- セミクリーンルームの熱気環境を改善したい(品質管理者様)
- 空調能力を超える設備増設の準備をしたい(工場責任者様)
- カーボンニュートラルへの取り組みを考えている(経営者様)
射出成形現場のCO2削減対策や社内での共有にご活用ください。
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