樹脂不足と価格高騰への具体的な現場対策
需給ギャップが埋まらないPA樹脂不足
2021年3月頃から続いているPA樹脂の不足は、コネクタ・自動車部品・LEDリフレクター等、多くの製品の生産に大きな影響を及ぼしつつあります。
PA(ポリアミド)の主原料であるヘキサメチルジアミンを生産するための、アジポニトリルの製造メーカーは、2020年~2021年にかけて生産増強を計画している様子ですが、PA樹脂の需給ギャップが解消されるのは、2023年頃の見通しとも言われております。
このような中、PAの樹脂不足で「生産計画を立てられない」とか「顧客納期対応に悩んでいる」「今は樹脂の取り合いで大変苦労している」等の射出成形業様の声を良くお聞きします。PA樹脂不足に対する備えは十分でしょうか?
樹脂不足による射出成形業の課題
- 樹脂の価格高騰による原価の増加
- 樹脂の供給不足による生産の停滞
- リサイクル樹脂活用による成形不良
ハーモではこれらの課題解決をサポートします。樹脂不足による課題の解決についてお気軽にご相談ください。
このページの目次(クリックで該当ページに行きます)
- 樹脂高騰と樹脂不足が続く懸念(追記)
- 合成樹脂の価格が最高値を更新|2024/5/24追記
- 樹脂価格上昇の影響は依然続く状況|2023/9/25追記
- 石化メーカーの国際的再編・樹脂サプライチェーンは中国頼みとなるのか|2023/5/30の追記
- LNG由来の樹脂価格は今後暫く高止まりの予想|2023/3/3の追記
- 樹脂価格の高止まり傾向|2023/1/30の追記
- 求められる外部環境変化への対応策|2022/9/29の追記
- ナフサ価格 14年ぶりに高値更新|2022/7/29の追記
- LNG由来の樹脂価格高騰懸念|2022/7/6の追記
- ナフサ価格7四半期連続上昇|2022/5/2の追記
- 予測される樹脂不足環境の継続|2022/3/10の追記
- ウクライナ情勢で石油化学原料が逼迫の懸念|2022/2/26の追記
- 樹脂不足・樹脂価格高騰にアゲンストな環境が追い打ちか|2021/10/15の追記
- 価格が高騰するPC・PBT等エンプラ樹脂
- 樹脂不足の対応策
- ハーモの『粒断機』で樹脂不足に対応
- リサイクルが難しい樹脂も対応
- 樹脂のムダをなくす『トータルリンク』
- 樹脂不足対策のダウンロード資料
樹脂高騰と樹脂不足が続く懸念(追記)
合成樹脂の価格が最高値を更新
2024年5月24日:樹脂不足についての追記
2024年5月24日の日本経済新聞によると、合成樹脂の価格は2022年12月に付けた最高値を上回ったようです。理由は、原料となるナフサ(粗製ガソリン)のアジア相場での価格上昇、円安の進行、物流費の高騰に加え、プラント修繕費などの事業維持のためのコスト転嫁によるものです。
中でもナフサ価格は8万円前後までの上昇が見込まれ、汎用樹脂の低密度ポリエチレンは1㎏当たり316~346円、ポリプロピレンでは1㎏当たり316~356円と5%程度の価格上昇が見込まれます。物流費や事業維持費用の算定には時間を要すため、価格転嫁は2段回に及びそうとの声も聞かれます。
樹脂価格上昇の影響は依然続く状況
20223年9月25日:樹脂不足についての追記
2023年9月22日の日刊工業新聞によると、汎用樹脂のPEの価格は20%値上がり している様子です。 直近の原油価格も1バレル100$に迫り、20日の円ドル相場は32年ぶりの1$¥150の円安水準となっています。海外から輸入される樹脂原料・完成品の樹脂価格は今後も高値水準で推移することが予測されます。
また、一般社団法人全日本プラスチック製品工業協会の「2023年4月~6月期会員景況感報告全国版」では2022年同月比で樹脂原料単価が上昇したと回答される樹脂加 工業者の割合は、63.3%、横這い25.6%、下落8.3%となっており、樹脂価格上昇の影響を受ける樹脂加工業者の比率は依然高い状況にあります。
石化メーカーの国際的再編・樹脂サプライチェーンは中国頼みとなるのか
2023年5月30日:樹脂不足についての追記
韓国で唯一ナイロン原料のカプロラクタムを生産するカプロ社は、2023年6月まで3ヶ月間プラント設備を停止すると発表しました。自動車の生産の回復の遅れや、衣料用繊維の不信からコスト高を転嫁できず、2022年12月期の営業損失が日本円で122億円と赤字転落したことが背景に上げられます。また、日系のプラントでも住友化学が2022年10月に愛媛工場の年間8万5000トン生産を停止、さらにUBEは2024年度を目処に国内生産を大幅縮小する方針を打ち出しています。
この背景には、ここ10年で中国企業を中心としプラントの新増設が相次ぎ、今後も計画されていることが挙げられます。また、カプロラクタムの生産時のエネルギー負荷が高いことから、将来的に脱炭素化への投資が多額に及ぶことも挙げられそうです。今後、需要動向の変化やカーボンニュートラルへの対応、樹脂生産のスケールメリット等を勘案すると、樹脂サプライチェーンの中国依存が高まり、樹脂価格と供給量は中国頼みとなるのか、日韓の樹脂メーカーの動向が注目されています。
LNG由来の樹脂価格は今後暫く高止まりの予想
2023年3月3日:樹脂不足についての追記
2023年2月24日の日刊工業新聞によると、ロシアのウクライナ進行に伴うロシア産LNGの供給制限の影響等からLNG価格はコロナ禍の2019年と比較して約3倍の水準で推移しています。
2022年には新規及び追加のLNGプロジェクトへの最終投資決定が活発化したものの、生産開始に時間を要することやプロジェクトの計画変更や人手不足によるプラント建設進捗の遅延等も懸念され、世界の供給余剰は2027年以降と予測されています。 よって、LNG由来のPP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、POM(ポリアセタール)等の樹脂価格は今後暫く高止まりが予想されます。
樹脂価格の高止まり傾向
2023年1月30日:樹脂不足についての追記
2023年1月28日の日本経済新聞によると、10月~12月の国産ナフサの価格は2四半期連続で下落し、7月~9月に比べ11%安となった様子です。これに呼応するようにナイロンの原材料となるカプロラクタムのアジア向け価格も中国需要の不信等を受け、前月比6%安となった様子です。
ただし、カプロラクタムの原材料となるベンゼンの価格は上昇基調にあることや、中国のゼロコロナ政策からの転換による需要の回復期待から、今後は上昇局面に転じるとの予測も出されています。
また、ロシアとウクライナ紛争によるロシア産原油の供給制限や、アメリカのシェールオイル生産の動向を睨み、OPECの原油減産は継続されることが予測されることから、2020年と比較するとナフサの価格は円安傾向も伴って、未だ1.6倍程度の水準に留まっており、樹脂価格の高止まり傾向は今後も継続されることが予想されます。
求められる外部環境変化への対応策
2022年9月29日:樹脂不足についての追記
9月のアジア市場のナフサスポット価格は「1トン当り630$」と半年で5割下落した模様です。
価格下落の背景
- 中国の景気後退による石化製品の需要が減少
- 欧米の中央銀行の利上げによる景気後退懸念
ロシアのウクライナ侵攻で一旦急騰した原油価格は50%程度下落しており、石油価格に連動するナフサ価格も下落した模様です。
円安圧力の継続
一方、2度に亘る日本の為替介入にも拘らず、直近の為替水準は「1$144円後半」と3月末の1$122円と比較すると依然円安圧力は継続しており、日本の輸入コストは上昇基調で推移しそうです。
求められる外部環境変化への対応策
よって、今後需要家からの値下げ圧力は高まるものの、最終製品への価格転嫁の進捗度合いや短期的な原油価格の乱高下、為替の先行きを理由に、樹脂価格の変更幅は小幅に留まることが予測されそうす。短期かつ大幅な外部環境の変化に対し、今から対応策を考えておくことが求められそうです。
ナフサ価格 14年ぶりに高値更新
2022年7月29日:樹脂不足についての追記
2022年7月29日の日本経済新聞によると、4~6月の国産ナフサ価格は28日時点で1キロリットル当り8万6100円と14年ぶりに高値を更新した様子です。4月28日時点と比較すると、2万1500円高く、25%の上昇となっています。
ロシアのウクライナ侵攻による石油価格の高騰と円安が背景にあります。2021年10月113円であった為替は直近136円と17%円安が進んでおり、国産ナフサ価格を押し上げているようです。
一方、足元のナフサのスポット価格は、中国のロックダウンに伴う合成樹脂需要の停滞などで下落基調も見られますが、暫くは樹脂の価格は高値圏で推移しそうな状況です。
LNG由来の樹脂価格高騰懸念
2022年7月6日:樹脂不足についての追記
ロシアによるウクライナ侵攻は、原油高に加え欧州向けLNGの供給制限や、サハリン2のLNG権益をロシア国営企業へ移す大統領令への署名等、樹脂原料となるナフサやメタノールの供給に大きな影響を及ぼしそうです。
LNGから精製されるメタノールは、プロピレンやエチレンの原料でもあります。また、メタノールから精製されるホルマリンはアセタールの原料でもあります。今後、LNGの供給が不安定になると、電力はもとよりLNG由来の樹脂であるPP・PE・POMなどの樹脂価格高騰が懸念されそうです。
ナフサ価格7四半期連続上昇
2022年5月1日:樹脂不足についての追記
4月28日の日本経済新聞によると、国産ナフサの1~3月価格は、1キロリットル当り6万4600円、前四半期比6.4%、金額にすると3900円上昇したと報じました。
ナフサの上昇傾向は、ロシアのウクライナ進行を受け、原油価格が高止まりしていることから、4~6月には更に色濃く影響が出ると見られ、樹脂価格高騰は加速する可能性がありそうです。
ナイロン樹脂原料のカプロラクタムの4月価格は、1トン当り23200$と前月比8%、金額にして170$高く、3ヶ月連続の上昇となりました。カプトラクタムを原料とするPA樹脂の価格は堅調な需要と樹脂原料の高騰で更に上昇しそうです。
また、台湾などの大口需要家は、これまで長期契約で不足する樹脂原料をスポットでロシア産を調達していましたが、ウクライナ進行によるロシアへの経済制裁により、ロシア産を買い控える動きが広がっています。樹脂原料の需給の引き締まり傾向が強まることから、樹脂価格の高騰は更に拍車が掛かることが懸念されます。
予測される樹脂不足環境の継続
2022年3月10日:樹脂不足についての追記
2022年3月頭のガソリン価格は、1L当り174.6円と高騰しており、政府も石油元売各社に対し補助金支給を開始しました。同様に2022年3月物のナフサ価格は、1KL当り9万円を上回る価格で、一年前の3月と比較すると、2倍以上の価格となっています。
加えて、2021年3月に1ドル110円であった為替は、直近1ドル115円と安値権で推移しており、ナフサ価格上昇に追い討ちを掛ける状況になっています。
よって、樹脂価格は今後しばらく上昇トレンドが続くことが予測されます。また、コロナ禍の環境変化により、旺盛な巣ごもり需要対応へ向けての急激な増産や、自動車に代表される部品供給が間に合わないための生産停滞など、需給の混乱状態が続いています。
加えて、ウクライナの状況次第では今以上に国際物流の混乱も予測されます。樹脂サプライチェーンの中で樹脂原料や完成品樹脂が滞留し、必要量を樹脂加工業者へ届けることができず、樹脂不足環境の継続が予測されます。
世界有数の空圧部品メーカーであるZ社様は、「旺盛な世界需要に供給が間に合わない」と深刻な樹脂不足への即応策を講じられ、弊社も再生材のリサイクル率向上と材料原価低減に貢献する『粒断機』にてそのお手伝いをさせていただきました。
ウクライナ情勢で石油化学原料が逼迫の懸念
2022年2月26日:樹脂不足についての追記
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、エネルギー分野のコンサルティング会社ラスタット・エナジーは、リポートで国際原油価格が1バレル130ドルに高騰する恐れがあるとの見解を示しました。
同社最高経営責任者のジャランド・ライスタッド(CEO)はウクライナ・黒海経由の原油日糧100万バレルが紛争で直ちに脅かされ、輸送停止が長引けば重大な影響をもたらすと述べました。
樹脂価格はナフサ価格に連動することから、今回の事態が長期化する懸念も考えられ、樹脂価格高騰と樹脂不足の状況はまだまだ続きそうです。
樹脂不足・樹脂価格高騰にアゲンストな環境が追い打ちか
2021年10月15日:樹脂不足についての追記
2020年4月に1バレル18$の安値を付けた原油価格は、直近83$の高値を付け、樹脂生産に欠かせないナフサ価格は、2020年第一四半期1KL¥29,470から、2021年第一四半期1KL¥47,700と1.62倍、直近8月単月ベースでは¥52,326へ更に上昇しています。
また、原油決済通貨であるドルの値動きは、2021年1月1$103円でしたが、直近では1$113円と円安傾向にあり、海外からの輸入品コストの上昇要因となっています。
このような状況は、先物相場へも反映され、資源高・円安のトレンドは今しばらく継続されることが予測されます。日本プラスチック工業連盟の2010年データによれば、日本の石化メーカーの樹脂生産シェアーは、4.6%に留まりますが、これは多くの樹脂を輸入に依存する状況を示しています。
また、日本で樹脂を生産する際は、高騰するナフサに依存します。これらの状況をから、樹脂価格高騰は今しばらく続くことが懸念されます。
原油のみならずLNGも高騰。更なる樹脂価格高騰の懸念
2021年10月26日:樹脂不足についての追記
LNG(液化天然ガス)のアジアスポット価格の指標であるJKM(ジャパン・コリア・マーカー)が高止まりしています。
2021年1月のスポット価格は100万btu(英国熱量単位)当り32.5$の史上最高値を付けた後、2021年8月時点では16$と収まる傾向が見られましたが、いまだ高値水準を維持した状況が続いています。この水準は2020年8月比で5倍の水準を示しています。
LNGから精製されるメタノールは、フェノール樹脂やMMA(メチルメタクリルアクリル)、低オレフィン樹脂等の原料とされており、原油価格高騰と共にLNG価格高騰は、射出成形加工に大きなインパクトを暫く与え続けるかもしれません。
PA樹脂価格は今後も高値水準か!カプロラクタムが高値水準
2021年11月24日:樹脂不足についての追記
11月23日の日本経済新聞によると、ナイロン樹脂原料のカプロラクタムのアジア市場の価格が一段高となった模様です。
具体的には、韓国や台湾の大口需要家との11月契約価格は、2.8%高で締結されました。その理由としては、中国国内の電力供給制限の影響から、中国国内で製造されているカプロラクタムの輸出が減少。需給ギャップが引き締まったことから、ナイロンの供給量不足が懸念されると共に、ナイロン樹脂価格は今暫く高値水準を継続しそうな状況が懸念されます。
10月には、中国で複数プラントが稼働を開始した様子で、中国国内の価格は下降水準に向かっているものの、中国国内の電力供給量は不安定な状況が継続していることから、中国国内供給を優先することが予測されます。輸出向けは不安定要素を抱えることから、現在逼迫するナイロン需給のギャップを解消するには、今暫く時間が掛かるかもしれません。
特に、既に供給不足が顕在化している産業用コネクタや、自動車用ハーネス等の製品は、供給量や価格変動に暫く大きく影響されることが予測されます。
樹脂不足で価格が高騰するPC・PBT等エンプラ樹脂
射出成形加工業者様の悩みとして、樹脂不足と共に最近では特定樹脂の価格高騰が挙げられます。主にナフサ価格連動の樹脂価格は、原油価格と為替により変動します。直近では、「PBT樹脂価格が1.5倍になった」とか「PC樹脂価格が2倍になった」「樹脂価格上昇分を製品価格に転嫁できない」等のお客様の声を良くお聞きします。
PBTやPC等、エンプラ樹脂の価格高騰に対する備えは十分でしょうか?
樹脂不足でお困りの企業様はぜひご連絡ください
樹脂不足の対応策
射出成形加工業者様の樹脂不足対応策
樹脂不足や樹脂価格高騰などの環境変化は、射出成形加工業者様にとって、顧客納期対応による取引先との信頼関係構築や、製造原価上昇による企業収益圧迫等『顧客満足』『企業業績』と言った企業全体の取組課題になりつつあります。
このため、多くの射出成形加工業者様では、代替品樹脂の検討やリペレット化の推進、リサイクル率向上等、に取り組まれています。
さらに、PA樹脂やエンジニアリングプラスチックに留まらず、射出成形加工業者様が使用する他の樹脂のリサイクルや、リデュースへの取り組みも高まってきております。
リサイクルやリデュースについては下記の記事をご覧ください
プラスチック射出成形の3R|材料リサイクル・リユース・リデュースにおいて、今何故、粒断機なのか?トータルリンクなのか?
樹脂不足でPA代替品の樹脂も出てきているが…
樹脂メーカー様も恒常的なPA樹脂不足に対応するため、代替樹脂を市場投入され、PA不足を解消する取り組みが見られます。樹脂不足による代替品への置き換えは、製品企画・製品設計・金型製作・製品性能評価・環境テスト等の長い工程を経て、代替樹脂に置き換えられるのが一般的とされます。
このように、長期スパンでの対応をお考えの射出成形加工業者様では、既に1年以上時間を掛けて、PA樹脂に変わる代替樹脂の置き換えに成功された射出成形加工業者様もおられます。
その一方で、現在量産品として流れている製品や、既存の金型での成形を代替樹脂に置き換えるには、樹脂の収縮率の違いによる寸法精度への対応や、製品性能が満たされない等の課題があり、時間的に樹脂手足に対応できないケースも存在します。
樹脂不足対策でリペレット(再生樹脂)も対応しているが
不足する樹脂材料を補うため、また、樹脂価格高騰による製造原価上昇を抑えるために、リペレット加工業者へリサイクル樹脂を委託加工され、リサイクル材料として使用されている射出成形加工業者様も多数おられます。
リペレット(再生樹脂)のメリット
- 再生された樹脂材料は粒が均一
- 可塑化計量のばらつきが少なく安定成形が可能
リペレット(再生樹脂)の課題
- 熱履歴による物性劣化に伴う製品品質が低下する
- リサイクル樹脂の加工賃と引き取り配達料金等、社外コストが掛かる
- 一定量以上で無いと委託加工してもらえない
リペレットの際、樹脂によっては再加熱することで、品質上・コスト上の課題も併せ持ち、樹脂によっては不向きなケース、多品種少量には向かないケースもあります。
代替樹脂対応・リペレットを推進する上での課題
このように、代替樹脂での対応やリペレットにより、樹脂不足や特定樹脂の価格高騰に対応される射出成形加工業者様もおられる一方で、多くの射出成形加工業者様は対応に課題を抱えておられるのも事実です。
代替樹脂利用やリペレットを行う上での課題(例)
- 代替樹脂に置き換える時間的余裕がない
- リペレットの熱履歴による製品品質の低下を避けたい
- 社外コストを掛けたくない多品種少量だと難しい
樹脂不足でお困りの企業様はぜひご連絡ください
ハーモの『粒断機』で樹脂不足に対応
動画でわかりやすく見る
「樹脂不足や樹脂価格の高騰を解決したい」という声にお応えします
代替樹脂対応・リペレット推進上の課題を解決し、樹脂不足や特定樹脂の価格高騰の課題を解決したいとお考えの射出成形加工業者様には、現有設備の粉砕機をハーモの粒断機に置き換えることをお勧めします。
ハーモの粒断機が樹脂不足対応に適している理由
一般の粉砕機は、『高速タイプ』と『低速タイプ』の2種類に大別されます。高速タイプと低速タイプはそれぞれに課題があります。
高速粉砕機の課題
高速粉砕機は製品もスプル・ランナーも砕くことができる一方で、下記の課題があります。
高速粉砕機の課題(例)
- 粒が揃わず可塑化計量時間にばらつきが生じて、安定成形ができない
- 粉状の樹脂が多く、黒点・白点等の不良発生や、ホッパーローダーのフィルター掃除が頻繁に発生し、現場作業者の手間がかかる
- スクリーン(砕いた樹脂を分別する篩)をすり抜けた長い樹脂が、ホッパー内でブリッジを起こし、スクリューシリンダーへ樹脂が供給されず、成形機が止まり24時間成形ができない
さらに、一部の課題を解決するため、人手を掛けて砕いた樹脂を篩(フルイ)にかけ、樹脂を分別するムダな作業をされている射出成形加工業者様も少なくありません。
また、ガラス繊維を含む樹脂では、刃の磨耗やスクリーン交換が頻繁に発生し、メンテナンスコストの課題もあります。
低速粉砕機の課題
低速粉砕機では主にスプルランナーのリサイクルと併せて、機械トルクの許容範囲内での製品のリサイクルを行うことができる一方で、下記の課題があります。
低速粉砕機の課題(例)
- 粒度の均一性に難があり、粉状の樹脂も少なくありません
- 機械に使用される鋼材も高速粉砕機同様、一般にSKD材を使用しているため、ガラス繊維を含む樹脂のリサイクルでは機械構造が複雑であり、高速粉砕機以上にメンテナンスコストが発生するケースもあります
ハーモの粒断機は粉がほとんど出ない
ハーモの粒断機の特徴(1)
黒点・白点不良の原因とされる『粉状』の樹脂はほぼ出ません
ハーモの粒断機では独自のスイングプレスカット方式により、一般に粉と言われるサイズの樹脂はほぼ出ません。
そのため、粉を原因とした不良を大幅に削減することができます。
硬質材粒断例
ハーモの粒断機の特徴(2)
一定の条件下でPEEKのリサイクルにも対応可能
金属代替樹脂と言われるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)は、スーパーエンプラとも言われ、その耐熱性・耐疲労性・耐磨耗性・寸法精度に優れることから、航空機の螺子やナットへの応用が期待されています。
スーパーエンプラと言われる通り、品質性能に優れる反面、未だ樹脂価格は高額で、樹脂特性からリサイクルが難しい樹脂とされていました。
今般、PEEKのサンプルカットを実施したところ、一定の条件下にてリサイクルが可能であることが検証され、射出成形加工業者様への採用が決定しました。
このように技術開発の進歩により、新たな樹脂が開発される昨今、今まではできなかった樹脂のリサイクルにもハーモの粒断機は貢献しています。
デモ機貸し出し・サンプルカット
ハーモの粒断機の特徴(3)
独自の刃サイズで成形品の品質安定に貢献
プレスカットの一枚一枚のサイズ
- 小粒刃 2.1mm×3.5mm
- 標準刃2.8mm×4.5mm
刃のサイズがバージンペレットのサイズとほぼ同一であるため、シリンダースクリュウの供給ゾーンから圧縮・可塑化ゾーンへ、樹脂を安定供給する事ができます。これにより、成形の安定性を実現し、製品品質の安定に寄与します。
ハーモの粒断機の特徴(4)
バージンペレットとほぼ同サイズのリサイクル材を実現
あるお客様は粉砕材100%をもちいて成形した結果、他社と比べた品質安定性評価において最も安定した成形ができたと評価をいただきました。
独自のスイングプレスカット構造により「安定成形を実現する上での必要十分条件である」とされる下記を実現しました。
バージンペレットとほぼ同サイズのリサイクル材
- 粒が均一でバージンペレットのサイズに近い
- バージンペレットのサイズに近い粒度分布が多い(標準偏差の粒度分布が他社に比較して優良)
- 一般に粉と言われる微粉末がほぼ出ない
ハーモの粒断機の特徴(5)
オプション刃も柔軟に対応し、メンテナンスコストも削減に
ガラス繊維等を含む材料に対しては、射出成形機メーカー様がオプションにて用意されている、耐磨耗・耐腐食スクリュウシリンダーと同じ考え方に基つき、チタンコーティングの刃とハイスピード鋼の刃を、オプションにてご用意。
これにより、メンテナンスコストの削減にも寄与いたします。
ハーモの粒断機の特徴(6)
リサイクル樹脂とバージン樹脂を一定量自動混合するGMタイプ
砕いたリサイクル樹脂とバージン樹脂を一定量自動混合し、成形機へ供給することができるGMタイプもございます。ぜひご活用ください。
GMⅡ-t シリーズ
バージン材と粒断材を即座に混合
- 異常等で粒断機が停止した時タッチパネルとブザーでお知らせます
- 材料交換は簡単にできます
- 混合機内部の分解と掃除は工具を使用せず簡単にできます
- 混合タンク内にはバージン材と粒断材がすでに混合された状態で貯留されますので攪拌翼はありません
処理能力 | 切断可能スプル径 | 機種名 | カタログ |
30~40g/min | φ6mm以下 | GMⅡ-C200t/ GMⅡ-C200S | 資料ダウンロード |
デモ機貸し出し・サンプルカット
リサイクルが難しい樹脂も対応
オレフィン系樹脂も一斉値上げを発表!
7月3日の日本経済新聞によりますと、「石化メーカ各社は、オレフィン系樹脂の主原料であるポリスチレンの価格高騰を受け、オレフィン系樹脂のPP・PEについて、7月より5%~8%の値上げを発表した」とあります。
射出成形加工業者様は、エンプラやスーパーエンプラに留まらず、自動車部品等に多く使用されている汎用樹脂の値上げにも、対応策を今から考えておく必要がありそうです。
関連記事
合成樹脂、値上げ相次ぐポリスチレン10%超、主原料の高騰転嫁(2021年7月3日 日本経済新聞)
リサイクルが難しい樹脂もハーモの粒断機ならOK
PPやPE等のオレフィン系樹脂は、柔らかい特性を持っていることから、リサイクルしにくい樹脂と言われています。粉砕しても引きちぎったような切断となり、ブリッジを頻繁に起こし成形が止まってしまうため、リサイクルを諦めておられる射出成形加工業者様は意外と多い状況です。
また、ウレタン系のエラストマー樹脂やゴム系の樹脂は、汎用の粉砕機ではそもそも切断できない樹脂が多く、射出成形加工業者様から、多くのご相談を頂いております。
軟質系樹脂専用機で軟質樹脂のリサイクルを実現
ハーモでは、プレス固定刃と移動刃のクリアランスを究極まで狭めることで、ウレタン系・ゴム系の軟質樹脂の切断が可能な軟質系樹脂専用の粒断機を開発。
今まではできなかった軟質樹脂のリサイクルを実現いたしました。
『粒断機』デモ機貸出・サンプルカットを活用ください
樹脂のムダをなくす『トータルリンク』
ムダに樹脂を捨てない『トータルリンク』
成形終了と共に生じる「段取り換え」、成形終了と共に行われる「材料換え」の時間を短縮するために、成形機にはオートパージ機能が装備されています。でも、思わぬところに落とし穴がありました。
現場作業者は便利な機能に頼るあまり、ミニホッパー内に残った樹脂までオートパージをしている。
このようなことは、意外とお客様の成形現場で起きているかもしれません。
ハーモのトータルリンクで樹脂供給を自動コントロール
ハーモでは、樹脂のリサイクルはもとより、製造原価低減にも貢献しています。射出成形加工業者様がムダに樹脂を捨てないようにするためにハーモのトータルリンクが活躍します。
ハーモのトータルリンクの最適材料輸送の機能を使えば、成形終了に合わせて最小限の樹脂をミニホッパーへ供給することができます。
ハーモのトータルリンクで製造原価の低減を実現
この機能と射出成形機のオートパージ機能を併用すれば、段取り時間短縮とムダに樹脂をパージすることなく、製造原価低減を実現することが可能です。
トータルリンクの詳細はこちら
ハーモは樹脂リサイクル・リデュース活動をお手伝いします
循環型社会の実現、カーボンオフセット、ESG経営、SDGs等、地球環境に配慮した企業活動が求められる時代になりました。
株式会社ハーモでは、樹脂のリサイクル・リデュース活動へのお手伝いを通じ、地球環境に配慮した社会貢献活動を行なっています。
樹脂不足の困りごと、ハーモの粒断機で解決できます
粉砕機ではありません。 粒断機です。
従来の粉砕機と比べ、スプル/ランナを粒状にきれいにカット。リサイクル率の大幅アップに貢献し、多くのユーザー様から好評をいただいています。
粒断機のデモ機貸し出し・サンプルカット
射出成形のリサイクル率向上と材料原価低減に大きく貢献する「粒断機」を無料でお貸し出しいたします。樹脂不足でお困りの企業様はぜひご活用ください。
こんな企業様におすすめ
- 樹脂不足で困っている
- スプル、ランナのリサイクル率を高くしたい
- 樹脂材料の粒を均一にしたい
- リサイクル成形の品質を安定させたい
- 射出成形の材料原価低減を実現したい
樹脂不足についてお気軽にご相談ください
樹脂不足対策のダウンロード資料
樹脂不足の課題に応えるダウンロード資料
終わらない樹脂不足の悩みにはこの一手!今すぐ手が打てること
こんな方におすすめの資料です
- 再生材の調整に手間がかかる(射出成形機オペレーター様)
- 樹脂不足で生産計画を立てられない(生産ライン管理者様)
- 再生材の割合を増やすと成形不良が出る(品質管理者様)
- 樹脂の取り合いで苦労している(工場責任者様)
- 原料費高騰で頭が痛い(経営者様)
まだまだ終わらない樹脂不足の悩みにはこの一手!今すぐ手が打てること
不良率改善のプロが選ぶ“4つの周辺機器”
こんな方におすすめです
- 樹脂不足で困っている
- スプル、ランナを有効活用したい
- リサイクル成形で製造原価を低減したい
- 天気や湿度に左右されない安定した除湿乾燥をしたい
- 「粉」による外観不良を減らしたい
- 静電気による成形品のダメージを減らしたい
不良率を劇的に低減する「材料系周辺機器」と「トータルリンク」
こんな方におすすめです
- 成形品の設定に手間がかかる(射出成形機オペレーター様)
- 成形不良が発生しても気付きにくい(生産ライン管理者様)
- 成形不良の問題点が特定できない(品質管理者様)
- 成形品の品質が作業員スキルに左右される(工場責任者様)
- 今より生産性を向上したい(経営者様)
樹脂不足の課題解消のダウンロード資料
こんな方におすすめの樹脂不足の対策資料です
- 不良率を低減したい
- 成形品質を安定させたい
- 段取り時間を短縮したい
- ムダな樹脂を減らしたい
稟議書作成の雛形をご用意しました
射出成形の新たな設備をスムーズに導入するためにも、導入効果が分かりやすい稟議書の作成が重要です。稟議書の雛形を一括でダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
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射出成形工場のレイアウト相談
射出成形の自動化・省人化
射出成形工場の新しい生産ラインの設計や、自動化・省人化・省力化、生産性向上、成形品質改善などで工程改善について、ハーモが工場レイアウトをサポートします。お客様の工場や射出成形品の条件をヒアリングをさせていただきながら最適なレイアウトをご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。