インサート成形が求められる理由
組立品質の向上
一般に組立品質は「部品接合箇所のN倍に反比例する」と言われており、部品と部品の接合箇所の累積交差を減らすことで、最終組立品質を向上できます。
このため、部品点数を削減し最終組立品質を向上させる目的から、金属などのインサート成形による複合成形品のニーズは増加する傾向にあります。
軽量化への対応
自動車の燃費向上を目的に車の軽量化が求められ、今まで金属で対応していた部品を金属と樹脂の複合成形部品により、強度を保ちながら軽量化を実現するインサート成形のニーズは高まっています。
製品外観の加飾への対応
カップや食品容器等は製品の購買意欲を向上させるため、製品の外観へ加飾を行っています。最近は環境対応の高まりからシュリンク対応も見られますが、樹脂フィルムや樹脂シートをインサート成形するILM(インモールドラベリング)も求められています。
コストダウン要求への対応
発注元からのコストダウン要求が高まる中、既存の製品価格を更に値下げすることには限界があります。
「金属部品と樹脂部品を一体化する」「今まで二つであった樹脂部品を一体化する」などによるVA・VE提案を通じたコストダウン対応でインサート成形ニーズは高まっています。
射出成形とVA・VE提案
インサート成形の課題
人手不足
インサート成形は通常の成形と異なり2つの作業を必要とします。
- インサートワークを金型へ供給する作業
- 成形後の製品取出し作業
製品取出しだけの通常成形では取出しロボットを活用して自動化することは容易ですが、複雑な形状のインサートワークや細かな部品のインサート成形では金型へ正確にインサートできていない場合、「金型を破損させる恐れがある」「インサートワークを金型へ挿入するのに複雑な動作を必要とする」等の理由から、人の手による作業を多く見かけます。
しかしながら、「そもそも現場作業者を十分確保できない」「深夜作業者を確保できず24時間稼働できない」など、人手不足を理由に付加価値の高いインサート成形を取り入れることができない等の課題を抱えていたりします。
人の作業では対応できないインサートワーク
IMLの樹脂フィルムや樹脂シートは「人の手による金型への装着が難しい」「人の手作業では成形サイクルに間に合わない」等の課題があります。
技術的ノウハウが乏しい
インサート成形の自動化対応は様々な技術的要素を必要とします。
しかしながら、社内に技術的ノウハウが乏しく、付加価値の高いインサート成形を取り込めないケースがあります。
具体的な課題
- インサートワーク供給方法のノウハウが無い
- インサイートワークを金型へインサートするロボットハンドのノウハウが無い
- インサートワークと金型との嵌合クリアランスに関するノウハウが無い
- 自動化を踏まえた金型の製品レイアウトのノウハウが無い
- 金型へインサートワークが正確に挿入されているか確認するノウハウが無い
- 金型を交換した際の再現性を保つノウハウが無い
- 自動機メーカーへ仕様をうまく伝えられない
- 仕様書を作成できない
設備の汎用性を持たせたい
インサート成形では作業者の作業効率や安全性の観点から、竪型成形機によるインサート成形を採用されるケースがあります。成形機の耐用年数期間ずっとインサート成形を行う場合は、竪型成形機によるインサート成形は効率的と言えます。
しかしながら、製品ロットが小さく、3年は継続してインサート成形を行い、その後に成形機を他の成形品の生産に使用する場合は、設備の汎用性を持たせる観点から、横型成形機によるインサート成形を採用されるケースをお見掛けします。
また、射出成形機の安全規格の見直しに伴い、人によるインサート成形は今後制約も出てきそうです。
射出成形機安全規格の改定について、日本規格協会へ問い合わせてみました。
ハーモが課題解決にお役に立てる理由
豊富な実績
株式会社ハーモでは射出成型業界の自動化・省力化におけるインサート成形の豊富な知見を蓄積してきました。
対応実績のあるインサートワーク例
ネジ類 |
メスネジφ3の微細成形品 ~ メスネジφ60の大型成型品等 |
金属部品 |
1㎜のステンレスボール・板バネ・金属端子・短冊等 |
不織布 |
空気清浄機へパフィルター等 |
樹脂ラベルやフィルム |
炊飯器・洗濯機等の表示パネル用樹脂ラベル 容器外観用フィルム |
樹脂部品 |
一次成形された樹脂部品 |
当社は周辺機器の総合メーカーとして、樹脂の収縮や樹脂温度など、インサート成形をする上で必要とされる樹脂特性に関する豊富な知識と経験をご提供します。
柔軟な自動化提案
- 夜間の人手不足を補いたい
- 製品ロットが小さいので多くの予算をかけられない
- スペースが無く完全自動の設備を設置できない
インサート成形に関連する課題への対応として、完全自動にこだわらず、工場内スペース、希望自動運転時間、ご予算などに応じ、半自動インサート成形等の柔軟なご提案も可能です。
また、インサート成形品の生産終了後、他の成形品の生産にも対応できるように横型成形機のインサートシステムのご提案も可能です。さらに、外部の自動機メーカーとの協業も可能です。
一貫したサポート体制
お客様が保有していないインサート成形の自動化に関するノウハウを広範囲にご提供します。
仕様決め
- インサートワーク整列
- 供給方法
- ロボットハンドへのワークの受け渡し
- ロボットハンドから金型へのワークの受け渡し
- 金型クリアランス
- サイクルタイム
- インサートワーク着座確認
- 自動運転時間
- 必要スペース等
設計
製造
設置
- 機器の設置
- 試運転
- インストレーション
- 全自動運転確認
- アフターメンテナンス
日々のメンテナンスの対応だけでなく、時代とともに自動化・省人化、不良対策、生産性、品質、安全性の向上が求められる射出成形ラインの改善についても相談できるパートナーとして喜ばれています。
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