2022年10月28日に開催したハーモウェブセミナー【金型は熱交換器!射出成形の金型温度調節機選定の考え方パート2】の動画といただいたご質問への回答を掲載いたします。ぜひご覧ください。
ウェブセミナー資料をダウンロードできます
セミナーの資料をご用意いたしました。
金型温度調節機の課題解決にダウンロードしてご活用ください。
ウェブセミナー内容
01. 熱交換能力から温調機の選定基準を考える
(セミナー動画はこちら 1:57~)
金型温調機の選定のポイント
- 1時間当たりの成形品熱量から、冷却に必要な冷却水の重量を算出する(簡易的)
- 「1時間当たりの成形品熱量」と「金型の冷却管の冷却熱量」を比較して算出する
金型の冷却能力が足りない場合の対策
- 対策1 時間当たりの成形品熱量を減らす(成形サイクルを延ばす)
- 対策2 金型冷却管内の面積を増やす
- 対策3 冷却媒体流量を増やす
- 対策4 冷媒平均温度を見直す
アンケート結果
Q:金型温調器の冷却能力が足りずに金型温度が下がり切らない場合の緊急対策はどうしていますか?
- 成形サイクル時間(冷却時間)を延ばす 35%
- 冷却管内壁温度を見直す(送媒体温度を下げる) 22%
- 冷却媒体流量を増やす(金型温調器からの経路数を増やす) 12%
- 金型冷却管の直径や全長を大きくするよう金型修正する 3%
- その他の方法、またはわからない 28%
詳細な算出方法は資料をダウンロードしてご覧ください
02. カタログの仕様表数値を参照しながら選定してみよう
(セミナー動画はこちら 9:10~)
実際どのくらいの流量があるか計測をしました
ハーモの金型温調機『HMC-F743A』と『HMC-F12810A』を使って、実際どのくらいの流量があるかを計測しました。
HMC-F743A MAX流量60ℓ/min(60Hz)
HMC-F12810A MAX流量105ℓ/min(60Hz)
計測した結果、実測流量は簡易的に算出した冷却に必要な冷却水の容量には充分足りることがわかりました。
電力消費を削減できる可能性
流量は充分足りている分、ポンプモーターをムダに消費しているかもしれません。
- 5.2 ℓ/min ÷16 ℓ/min =0.325(32.5%)
- 60Hz ×32.5%=19.5Hz
※5.2ℓ/min:1時間当たりの成形品熱量から、冷却に必要な冷却水の重量を算出する(前出で簡易的に算出した数値
※16ℓ/min:HMC-F743A内径8Φ時の流量数値(流量計測結果より)
※60Hz:ポンプモーターを100%フル回転した時の周波数
理論的には19.5Hzのポンプ周波数があれば、5.2ℓ/minの流量が確保できます。つまり、少ない周波数でポンプモーターを回すことができれば、電力消費を削減することが可能です。
03. 低エネルギーで熱交換可能な「インバータ仕様の金型温度調節機」
(セミナー動画はこちら 17:58~)
層流と乱流
一般に金型温度調節機は、搭載ポンプの性能をフルに回し、熱交換媒体を金型へ送り込みます。液体の流れには層流状態と乱流状態があります。
乱流状態では、流速が速くなると液体は円管全体に拡散されることから、金型水管表面積全体に対して、効率良く熱交換効果を得ることができます。よって、乱流状態であれば、過度な媒体吐出流量を必要としません。
このような考えから、当社では最適乱流状態の吐出流量を確保し、低エネルギーで熱交換可能な「インバータ仕様の金型温調機」もご用意しております。
参考:流体解析の基礎講座第8回第3章流れの基礎(5):3.2.4 層流と乱流
金型温調機はなぜ大流量でなければいけないのか?
「金型温調機はなぜ大流量でなければいけないのか?」
今まで当たり前であったことに私たちは疑問を感じました。
では、流量を減らしたらどうなるのか?
金型温調機は熱交換器ですが、研究の結果、「熱交換量=温度差×流量(ポンプ周波数)=一定」であることがわかりました。
つまり、流量を減らしても冷却時間は変わりません。温度差が過大でなければ、ポンプ周波数を引き下げても成形に影響を与えることはありませんでした。
流量を減らしても冷却時間は変わらない
上の図のモデルでは、戻り温度をわずか1℃増やすとポンプ電力は30%に激減します。この省エネ手法は一般に「大温度差システム」と呼ばれて空調機で利用されています。
なぜ大幅な節電が可能なのか?
ポンプ電力は流量の3乗に比例する特性があります。
電源60Hz地域で、ポンプが40Hzの時の電力はこのように求められます。
実績として0.5kw/h削減。
この場合、24時間運転で1年間¥74,460のコスト削減ができます。(※電気代1kwh=¥17で換算)
ポンプを使用する金型温調機は節電に最適な機器なのです。
温度差と周波数の関係性
下のグラフは実際の成形テストを基にしたモデルです。
行き温度は数分で一定に達しますが、温度差はその後も変化し続け、連続成形中も射出・冷却・取出にともなって常に変化します。
この温度差が過大ならば、金型の温度分布がばらつき、冷却不足が発生してしまいます。(なお温度差は汎用成形で5℃、精密成形で2℃以内が推奨されています)
今までの金型温調機はエネルギーを無駄に消費していた
したがって、金型温調機の性能では温度差を許容範囲内に維持する能力が大変重要です。今までの金型温調機はポンプを常に高速で回すことで温度差の課題を無視してきましたが、能力に余裕がある分のエネルギーは無駄に消費していました。
ハーモのインバータ金型温調機は独自技術で温度差を維持しながら、積極的に流量を減少させることで節電と安定成形の両立にはじめて成功しました。
詳細は資料をダウンロードしてご覧ください
04. ハーモの自動金型温度調節機
HMC-FAeシリーズ
温度差の見える化を実現
ポンプ瞬時電力や周波数も表示され、節電効果がひと目でわかります。
さらにSDカードを内蔵し、過去のデータも自動的に蓄積されます。この温度差の最適化により、節電に貢献することが可能になります。
HMC-FAeシリーズの特長
温度差をグラフ表示
- 時間軸を1秒、10秒、1分、1時間単位に切り替え可能
- -20℃~+20℃の範囲内で目盛シフトと目盛幅変更(1~5℃)可能
使い勝手のよさ
- 独自の最大温度差制御技術により温度差の大きな変化にも対応
- 放熱の多い金型(戻りの方が冷たい場合)にも対応します
- 周波数上限・下限設定など、拡張性を確保
- 温度差設定値(SV)は金型メモリ(0~99型)と連動・保存
SDカード内臓
温度差、周波数などの主要データを運転中のみ10,000時間以上蓄積自動グラフ作成ツールをSDカード内に添付します。
※ご利用には「MicrosoftExcel(2003以降)」をインストールしたPCと、SDカードに対応したカードリーダが必要です
無駄な金型放熱を防ぐために
- 無駄な金型放熱を防ぐために、金型断熱板の使用をお勧めします。 特にエンプラでは立ち上げ時間の短縮や安定成形に有効です
- 装置全体の節電効果は金型放熱を補うヒータ出力に依存するため、金型温度ごとに限界があります
- 節電例
- 設定70℃以下では最大で-70%
- 80℃では-22%
- 90℃では-15%
製品カタログPDF
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