● レポート
ハーモウェブセミナーレポート『射出成形におけるゲートカットの基礎知識』2022/8/24開催
2022年8月24日に開催したハーモウェブセミナー『射出成形におけるゲートカットの基礎知識』のセミナーレポートです。セミナー動画といただいたご質問への回答も掲載いたします。ぜひご覧ください。
ウェブセミナー資料をダウンロードできます
セミナーの資料をご用意いたしました。ゲートカットの課題解決にダウンロードしてご活用ください。
エアニッパのお得な期間限定キャンペーン
マイナーチェンジ前の限定キャンペーンとして、ハーモエアニッパ「FHVシリーズ」を最大40%OFFにて販売いたします。期間は、2022/8/26~2023/2/24までとなります。ぜひ、この機会にお安くお買い求めください。
ウェブセミナー内容
- 代表的なゲートとニッパの特徴(1:55~)
- 待機ニッパを使用したゲートカットの紹介(13:41~)
- ゲートカットテーブルを使用したカット事例(21:03~)
- 姿勢サーボを使用したゲートカットの紹介(22:48~)
- ゲートカットについてのQ&A(26:52~)
- ゲートカットのアンケート結果
- ニッパキャンペーンのご案内(30:21~)
代表的なゲートとニッパの特徴
なぜゲートカットが増えているのか?
サイドゲートの金型を用いての設計製作が増えている
「金型の形状が簡単」「樹脂流れも均一化」「コストも安い」などから、最近はサイドゲートの金型を用いての設計製作が増えています。それは、すなわち、ゲートカット作業が必要になるということです。
サイドゲートへの課題
自動ゲートカットへの対応が間に合わない
急激なサイドゲート金型の増加に、自動ゲートカットへの対応が間に合わず、パート作業者や内職でのゲートカットで急場をしのぐことも増えてきました。自動ゲートカットに比べると、人間の手の器用さは機械を凌ぐので、きれいにプラスマイナスもほとんどなくカットができることは確かです。
コスト増やヒューマンエラーの問題
急激なサイドゲート金型の増加に、自動ゲートカットへの対応が間に合わず、パート作業者や内職でのゲートカットで急場をしのぐことも増えてきました。自動ゲートカットに比べると、人間の手の器用さは機械を凌ぐので、きれいにプラスマイナスもほとんどなくカットができることは確かです。
今後も予想されるゲートカットの需要増
また、自動車のEV化・軽量化による「部品の樹脂化」に伴い、ゲートカットの需要は増えています。今後も自動車のリニューアルのタイミングで需要が上がり、2~3年に一遍、ゲートカットの需要の波が来ることが想定されます。
代表的なゲートとその特徴
サイドゲート
- その名の通り、製品の横につくゲート
- もっともポピュラーなゲート
- 多数個取りも対応でき、金型の形状も簡単で樹脂流れも均一化できる
- 2枚プレートで設計でき、コストも安いのが特徴
- ただし、取り出し後はゲートカット処理をしなければならないので、ゲートは目立たないところに配置される(製品横面を損なわないようにジャンプゲートという種類もある)
サブマリンゲート
- トンネルゲートとも呼ばれる
- 型開き時に成形品とゲートを自動切断できるので、成形後の手間がない
- ただし、多数個取りの場合は樹脂流れの難しさがある
- アクリルなど流動性の悪い樹脂やガラス入り樹脂には不向き
ピンゲート
- 多点ゲートが可能で、多数個取りにも対応可能なゲート
- ゲート跡がほとんど残らず、型開き時に成形品とゲートを自動切断できるので、成形後の手間がないのが特徴
- ただし、アクリルなど流動性の悪い樹脂には不向きで、3枚プレートになるのでコストが高くなる傾向がある
- 一番トラブルが多い金型ともいえる
ダイレクトゲート
- 型構造としてはもっとも単純で、1個取りのコップなど円筒形の金型に用いる
- スプールブッシュから直接成形品に樹脂を流し込む方法
- ゲートカット処理が必要なことを除けば、トラブルが少ないゲートといえる
ニッパの種類
※ベッセル様提供画像
- ストレート刃 ゲートに対して直角に当てて切る
- ロングストレート刃 ニッパと離れた場所のゲートに対して直角に当てて切る
- ストレート薄刃 刃が入りやすく、きれいに仕上がる
- ノセ刃 ジャンプ(乗せ)ゲート用
- クランク刃 邪魔するものが当たり、ゲート部が狭い場合用
- クイキリ刃 乗せゲート、捨てゲート用の爪切りに似た
- 突っ切り刃 フィルム状のゲートを薄手方向から切る
- 横向き刃 スペースが狭く刃が入りにくい場合の、刃先が90度折れ曲がった
- L刃 ダイレクトゲート用
ニッパ専門家に取材しました!
室本鉄工株式会社様
ニッパでのゲートカットは±0mmはあり得ない
現場担当者から、「交差は±0mmで」との要望を受ける場合があるかもしれませんが、不可能です。精度を詰めても+0.2~+0.3mmが限界。基本的には身切り(成形品部分を切ること)はできないので、残すことになります。ニッパでのゲートカットは+0.2~+0.3mmが限界と覚えておきましょう。
シビアに切るなら金型の設計段階から
金型ができてから、ゲートカットの相談されることがほとんどです。金型設計においては樹脂の流れをいかにコントロールするかが課題なので、ゲートカットのことはあまり考えられていない場合が多いです。ゲート残りが+0.5mm以下を目指すのであれば、ニッパの刃の担当者も金型設計の段階から加えてほしいと。たった一つのアドバイスできれいに切れる場合があります。
ニッパは摩耗して切れなくなる
ニッパの刃は当然摩耗して切れなくなりますが、ニッパーメーカに依頼すれば研磨も可能です。摩耗は研磨で修復可能ですが、欠けは修復不可能ですのでご注意ください。研磨は1~2回が可能の目安です。また、素人であるユーザーが研磨するのはNGです。余計切れなくなってしまいます。気をつけましょう。
刃の交換時期は一概には言えず、ものによっても当たりはずれもあるため、「切れなくなったら交換する」が基本です。切れる/切れないの判断は基本的にユーザーが決めることではあるますが、20万回で強制交換しましょう。どうしても長持ちさせたい場合は、切っている場所は一か所のため、真ん中(初期設定位置)より奥側にずらして切れば持つ場合もあります。ただし、急場しのぎにのみ試しましょう。基本的には交換を推奨します。
株式会社ベッセル様
ゲートカットに必要な情報・もの
- カットするワークそのもの
- 見本ブレード(あれば)
- OKサンプルとNGサンプル
- 切断面の厚みと幅
- 材質(樹脂種類)とGF%値(ガラスフィーラー)
- 切断タイミングの情報(冷えたタイミングがベター)
- カット部の表面温度・要望するゲートカット交差
- ゲートカットの進入方法(横からか下からか等)
- 機械装置の種類(待機ニッパタイプかテーブルタイプか)
- 成形サイクルタイム(場合によっては2回切りも可能…邪魔な部分をカットして再カット)
待機ニッパを使用したゲートカットの紹介
待機ニッパによるゲートカット位置設定の課題
- ニッパの位置設定のシビアさと作業者の負担
- 待機ニッパにおける位置設定
ワンタッチ待機ニッパとニッパアジャスタツール
「ワンタッチ待機ニッパ」の特長
1. 段取り時間の短縮
- 待機ニッパ枠に「ワンタッチ機構」を採用
- 金型ごとにニッパ枠を用意し、段取り時間の短縮を実現
- たったの30秒で取付完了
2. 位置の再現性
- ニッパ枠に角度調整機構を設置
- 金型設置時に発生する「θ方向のずれ」に対して、ニッパ枠で角度調整を行う
「ニッパアジャスタツール」の特長
- ニッパの位置調整時のねじ、工具不要で段取り時間を1/3に短縮!(当社比)
- ニッパアジャスタはニッパの脱着や、ニッパの上下位置、角度の微調整が簡単
- 手を放してもスプリングが効いて位置をキープできる。片手で調整できるため、作業効率が向上
- 増し締めもワンタッチレバーで可能なため、従来の様に六角レンチで増し締めしたときの位置ずれにくい
ゲートカットテーブルを使用したカット事例
ゲートカットテーブルの特長
待機ニッパは機械の先端にステーがあるため成形機の振動の影響があったり、製品が長物等の場合、安定してカットできない場合があります。
専用のテーブルタイプにすれば製品を固定することができるためカット精度が安定します。また、そのままストックも可能です。
姿勢サーボを使用したゲートカットの紹介
姿勢サーボ機の特徴
製品によってはゲート位置が斜めになっていたりして、待機ニッパにロボットアームを寄せつける際に、正確にアプローチできない場合があります。姿勢制御がサーボになっていれば、水平動作、旋回動作が0.0.1mm単位で数値制御できるのでカット精度が劇的に向上します。
ゲートカット事例
ゲートカット事例 1
テーブル型ニッパ装置メーカーで1台300~500万円のところ、弊社のサーボ制御姿勢制御と待機ニッパを使って劇的に経費削減。7台ご購入いただきました!
ゲートカット事例 2
他社スイングタイプで取り出した4個どり部品のゲートカット。内職に出して月40万円かかっていた工程を、弊社横走行ロボットと待機ニッパー使い自動化を実現。内職の費用が丸ごとコストダウン!
ゲートカットについてのQ&A
Q. 弊社ではサイドゲートカットの自動化は進んでいるのですが、ピンゲートの出っ張りの自動カットを検討しています
A. ピンゲートのゲート残りは「ゲートつぶし」で対応します。型内においてチャック板内のシリンダロッドで複数回押し込みつぶす方法です。ご不明点がありましたらハーモまでご連絡ください。
Q. 身体に負担のかからないニッパーの選び方を知りたい
A. 自動ゲートカットが不可であれば、フットスイッチでエアがオンするニッパで切る方法があります。お試しください。
Q. ディスクゲート(円盤型フィルムゲート)の切断方法、効率の良い作業方法があれば知りたい
A. 実際のゲートサンプルでご相談させて頂きたく存じます。お気軽にご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q. スーパーエンプラのGF30%の材料で成形を行っているのですが、エアニッパーでも切断は可能になりますでしょうか
A. PPS、LCP、PEEKなどスーパーエンプラのガラス入り樹脂も切断は可能です。摩耗は早いですが、摩耗したら交換する考え方でよいかと思います。PPSのGF40%のニッパカットの実績があります。
Q. ゲート処理の凸残りのばらつきに困っています
A. テーブルタイプで安定させてカットの方法があります。お気軽にご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q. ランナーをなるべく細かくカットして粉砕機負荷を減らしたい
A. 待機ニッパなどを駆使して2か所切りも可能です。お気軽にご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q.効率的な製品搬出方法、ゲートカット方法の情報が知りたい
A. 今回のセミナー内容ご参照ください。セミナー内容をPDF資料にもまとめていますので、ダウンロードしてご活用ください。(『射出成形におけるゲートカットの基礎知識』のダウンロード資料)
また、ご不明点などありましたら、お気軽にご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q. ゲートカットで飛んでしまうランナーをなんとかしたい
A. 保持してカット、もしくはニッパ近くに鉄のカバーで対応します。お試しください。
Q. 自動ゲートカットに最低必要な金型ゲート設計条件について定義頂けませんか。ニッパ刃先が入らないゲート形状の金型が幾つかあり困ています
A. 「刃先が入るゲートと製品間にする」「正面からニッパがアクセスして切れる構造・斜め構造のゲートは避ける」くらいでしょうか?具体的には実際のお打ち合わせが必要かと思います。お気軽にご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q. 弊社では待機ニッパを使用してゲートカットを行っていますがカット位置にバラツキが発生してしまいます。何か良い対策は有りませんか?(ゲート位置のレイアウトの関係で、綺麗にカットできず、ゲートカット残りが発生します)
A. テーブルタイプで安定させてカットの方法があります。お気軽にご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q. 外部ニッパーによるゲート残りや対応すべきゲートサイズ、ニッパー回避のための成形品の必要スペース、2度切り(ジャンプゲート等を二方向からカットする方法)方法などを教えてください
A. 刃が入るゲートと製品間のスペースを確保するため、具体的なお打ち合わせが必要かと思います。お気軽にご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q. 刃具を使用せずにゲートカットする場合の形状について情報収集したい
A. MIM成形やセラミック成形、マグネシウム成形の当てて折る、引っ張って折るなども対応できます。お気軽にご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q. スライド式ニッパーを利用しています。ゲートカット実施時に製品に薄いキズが入ってしまうため都度位置調整等を実施しなければならず、段取り時間や生産中の不良率が高くなり困っています。
A. 寄せ付けて切る方法かと思いますが、チャックの状態が安定していないかもしれません。ここを見直すか、テーブルタイプで完全に固定して切る方法もあります。お気軽にご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q. 姿勢サーボによるゲートカット、ゲートカットテーブルによるゲートカットを実際に確認した事がありません。設備費用を教えていただきたいです。(設備の規模や内容によって価格が変わると思いますので大凡で構いません)
A. 製品を置くのにゲートをラフ切りするためのチャック内ニッパなら数万円からになります。『待機ニッパ』ならOP選択でニッパ枠30万前後アップ+ニッパ代金。『テーブルタイプ』なら50万円からとお考えください。
『2軸姿勢サーボ制御タイプのロボット』にするなら定価で100万アップ(後改造は不可)となります。定価ですので詳細は営業担当とぜひご相談ください。(お問い合わせ・ご相談)
Q. 部品の交換頻度、または保証回数を教えてください
A.ガラスなしで20万回といわれていますが保証はできかねます。
Q. カット面精度とカット位置の精度を教えてください
A. カット交差はミニマムで0.2mm~0.3mm ロボットの位置制度は±0.1mmとなります。
ゲートカットのアンケート結果
今回のセミナーではたくさんの方にご視聴いただき、ゲートカットへのニーズが高いことが分りました。また、参加者の4割の方がゲートカットに何かしらの課題を持っていることがアンケート結果からうかがうことができます。
ゲートカットの必要な金型は増えていますか?
- 劇的に増えている 4%
- 少しずつ増えている 9%
- 変わらない 24%
- 分からない・無回答 63%
自動化を進めたい金型はありますか?
- 多数ある 7%
- 少しある 15%
- 変わらない・無回答 78%
ゲートカットに課題はありますか?
- 自動化できず人が切る 12%
- カット交差が安定しない 6%
- 段取り時間がかかる 13%
- その他の課題 11%
- 無回答 58%
興味をひいた製品はありましたか?
- ワンタッチ待機ニッパ 13%
- テーブルゲートカット 11%
- ニッパーアジャスタ 7%
- 姿勢サーボ 7%
- 回答なし 62%
お気軽にご相談ください
ハーモはの皆様のゲートカットへの課題についてもお役に立てます。ぜひご相談ください。
ニッパキャンペーンのご案内
マイナーチェンジ前の限定キャンペーンとして、ハーモエアニッパ「FHVシリーズ」を最大40%OFFにて販売いたします。期間は、2022/8/26~2023/2/24までとなります。ぜひ、この機会にお安くお買い求めください。
ウェブセミナー資料をダウンロードできます
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